物語 うぐいす


森の中に歳をとったお医者さん夫婦の病院があった。
病院では若い看護婦さんを募集していたが、全くくる気配がなかった。
お医者さんのおくさんはよく働くかんごふさんだったがあまりの忙しさにすっかり疲れ果てていた。
そんな春の明るい月夜、甘い花の香りと共に小柄な少女がやってきた。
その少女は昔お医者さんが怪我を治してあげたうぐいすで、その恩返しに看護婦になりにきたのだった。
おくさんはその少女に白い制服や靴をつくってあげ、湿布や包帯の巻き方などを教えた。
この少女が働くようになって、病院の中はとても明るく華やかな雰囲気になった。
ところが夏のある日、うぐいすの少女は森の奥から自分を呼ぶオスのうぐいすの声を聞く。
やがて声を聞くたびに少女はうわのそらになり、そのうち食事も取らずにどんどん痩せていった。
そしてある雨の夜、病院を飛び出してしまった。
うぐいすとしての幸せ選んだ少女の幸せを願うお医者さん夫婦だったが、
時折いなくなったうぐいすの少女の事を懐かしく、寂しく思い出すのだった。
そして翌年の春、昨年と同じような月の夜に5人の少女が訪れた。
それはあのうぐいすの少女の娘達だった。