物語 コンタロウのひみつのでんわ


一人で細々とふとん屋を営むおじいさんのもとに、一人の少年がふとんを買いにくる。
野ばらの柄のふとんを選ぶと、少年は家まで歩いて布団を運んで欲しいという。
とても歩いては運べないと思ったおじいさんだったが、少年の言われるままに布団を担ぐと、
それは信じられない軽かった。
実はその少年は子キツネが化けていたもので野ばらの布団は全部野ばらの花びらになっていたのだ。
親を失い一人暮しの子ギツネコンタロウとやはり一人暮しのおじいさんはすっかり意気投合してしまった。
その後、コンタロウは山からおじいさんへ電話をかけるようになった。
その電話は季節の花が受話器で、風がその声をおじいさんのところまで運んでくれるのだ。
おじいさんは、その電話を楽しみにするようになり、あるときはコンタロウの山の料理をごちそうになったり、
蚊帳をプレゼントしたりした。
秋にこたつをプレゼントしたときにはコンタロウはこたつぶとんのブドウの柄を本物のぶどうにしておじいさんと食べたが、
ブドウがあまってしまったのでぶどう酒を作ったりした。
冬になると、花が咲かないのでコンタロウの電話は来なくなった。
おじいさんはそれをさみしがるが、秋に作ったぶどう酒を注ぐとそのなかにおじいさんと同じように
一人でこたつに入りながら注いだぶどう酒を飲むコンタロウの姿が見えるのだった。