物語 しいちゃんと赤い毛糸


おばあさんが町で買った赤い毛糸の束を持って家へ帰る途中、
山の枯れ木たちが毛糸を欲しがった。
おばあさんは孫娘のしいちゃんのために買った毛糸なので「あげない」とつっぱねてそのまま家へ帰りついた。
そしてしいちゃんのために赤いセーターと帽子と手袋を編んだ。
そのセーターと帽子と手袋をつけたしいちゃんは、嬉しくて、外へ遊びに出た。
すると、林の木が「寒い、寒い」と言っている白いきものを着た人たちに見えた。
その白いきものを着タた人たちはしいちゃんの赤いあみものを「焚き火のようだ」と誉めそやした。
思わず手袋と帽子を地面においしまったしいちゃん。
すると、それは赤い炎の焚き火になってしまった。
そしてたくさんの人たちがその焚き火にあたり、胸に赤いほのおの花を得ていった。