物語 花びらづくし


茂平さんのおかみさんは、「さくら屋」から招待状をうけとった。
それは桜の精のお祭りで、山の人間しか参加を許されないものだった。
その日、おかみさんはあかり屋のおかみさんと連れ立って「さくら屋」へ行った。
中へ入るとそこは桜の花びらで一面桃色の世界で、
山の女性たちがいろいろな出店で物を買っていた。
茂平さんのおかみさんは桜の花びらをつまった枕を買うが、
帰るまで待ちきれずに林の中で枕に頭を乗せて眠ってしまう。
気がつくともうそこには誰もいなくて奥さんは花びらの中に埋もれそうになっていた。
おかみさんはあわてて林から逃げ出すが、
買ったものを林の中に置いてきてしまった。